片桐功敦「日々の花」

7日、日曜のこと。華道家・片桐功敦さんの個展「日々の花」を見に行きました。会場は、船岡山に程近い「かみ添」さんにて。


「原始的・土俗的な視点から、溢れんばかりの花の生命力にフォーカスしてきた彼が、今回は、なにげない日常の花の姿に取り組みます。いつもの道の端っこで、ほとんど誰にも気づかれることなく咲く花。もしかしたらいちばん美しいのは、そんな花なのかもしれません。そうして、なんでもない日常のひとコマを豊かにしてくれるのも、そんな花なのかもしれません。」(イベント公式情報より抜粋)


植物には疎いのですが、紫陽花は無条件に好きです。色のトーンが花に合った古い韓国の銅器に紫陽花が生けられた作品がとても美しかったのですが、この青い壺は、なんと、大昔、「おまる」として使われていたそうです。






震災の傷跡残る福島の海に漂着した鉄屑や銛(もり)に花を生けたり、或いはアラスカのアザラシの皮でつくられたイヌイットのブーツに生けられていたりと、どこかプリミティブな土っぽさと力強さを感じ、しかしながらその力強さが、凛として嫋やかな花を引き立てる、といったところでしょうか。





日常の中の非日常と、非日常の中の日常のあいだを揺蕩う(たゆたう)ような、そんな時間と空間を体験致しました。




話題はかわりますが、法然院の水甕?にそっと添えられた木の葉が、本当に粋だといつも思います。見逃している方も少なくないことが不思議でなりません。








春と桜と食べ物と

柄にもなく、桜ばかりみにいっています。先週の金曜、せんぼんぐらばー館で念願の長崎ちゃんぽんを食べてから、立本寺の枝垂れ桜を観賞。







先週の土曜。東京からの親戚とともに、朝から花見。の前に、東京のtoco.とnui系列のゲストハウス&カフェ&バーのLen.でエスプレッソを。近所なので便利。




アルチザナルでパンを買い込み、御所の近衛邸跡の枝垂れ桜の下で花見を。




桜のあとは、李青にて、ピビンパを。静謐な空間に鎮座する調度品や庭の室礼がしゃんと美しい。








月曜は半休。早起きして、西宮は苦楽園まで。エスキーナさんにて、久々の友人と朝食を。朝のゆったりとした時間と優雅な空気感を味わう贅沢。苦楽園〜夙川にかけて、桜並木も満開。日本の春が、やってきた。




神戸は六甲まで電車移動。「六珈」さんという珈琲屋に立ち寄った。朝の清々しさと麗らかな春の陽気に身を任せ、六甲駅から岡本駅まで二駅分、線路沿いを歩いて東に戻った。歩くと小一時間かかった。

岡本の雑貨屋naïfsで店用の器を調達し、電車で元町へ。いつもお世話になっているモロッコ雑貨屋のzellij(ゼリージュ)さんにて、店用の備品を購入。古い看板と、ジャケ買いの古いレコードが当たりだった。




昼食にいってみたかった丸玉食堂が休みで、昼食難民に。仕方なく三宮センタープラザの地下へ。かつ丼吉兵衛と、ぼっかけ焼きそばの長田本庄軒をはしご!センタープラザの地下は、ワンダーランド。







火曜の昼もいい陽気だった。この日も半休。友達とピニョ食堂さんに韓国料理のスープを食べに行ったり、移転リニューアルした雑貨屋kitをみたり、象工場で珈琲を飲んだり、D&DEPARTMENTにいったり、そこらじゅうの桜が咲き誇っていた。





木曜の昼間は、仁王門通りのchieriyaでバインミーを、こたろうで鯛焼きを買い込み、鴨川沿いで花見。コンロやエアロプレスを持参で珈琲の野点。心地が良い。







雨で桜も散り気味、しかしながら、花びらに埋め尽くされた路や、花吹雪もまた風情があってよいではないか。




食べ物からも、春を感じる。


SOU?SOU在釜にて、筍の羊羹。



katteさんにて、ボッタルガ(からすみ)と空豆のスパゲッティーニ。




ジャジューカだって負けていません。ホタルイカと菜の花のタブレ!タブレはクスクスのサラダです。








OFFとONと飲食店

仕事前、仕事と仕事の合間、休日。オフでも、何処かしら、他所様の飲食店に行くのが好きです。

勉強になる、と考えれば、OFFでもオフになりきれていないようにも思えますが、それでもいいんです。

元々、設計や内装デザインへの興味が尽きなかったことが、自分の店を持つことになったきっかけなので、内装が興味深い店に入り、妄想しながら時間を過ごすのが未だに好きです。

料理人でもなかったのに料理が好きになり料理店をするようになったのは、旅で多種多様な食文化に出会い、いつしか食が旅の目的になっていったからでしょうか。

なので、飲食店は、「食」と「住」への興味や欲が一挙に満たせる場として、僕にとっては魅力的なのです。

衣食住はつながるもの、いや、暮らしにおいて、繋がっていないといけないものだと思います。

アパレル時代にお世話になったドレステリアは、ファッションにおける定義、意味、理由、背景、歴史を大切にしていました。流行に流されない姿勢は其処で学びました。定番が一番!

服においても、料理においても、店においても、やたら無闇に刹那刹那の流行だけを追い求めて結果的にブレるような姿勢は格好悪いと感じるようになりました。無意味な装飾やアレンジも同様です。

定番や古典は、不変である意味が、最近とりわけよく分かります。最終的に一番美しく格好良いのです。無駄や無理がなく、意味があり、理由があり、筋が通っているからです。

もちろん、時代の空気感は多少必要で、新しいものへの拒絶は好ましくないでしょう。




さて、OFFの時間に訪れる場所のうち、今年に入ってから、好きになって行くようになったお店があります。



【微風台南 tears 2】さん





台湾のローカルなB級グルメと、今の台湾の空気感が漂うお店です。脳内妄想tripが可能です。




【フレンチ食堂nico】さん





月曜の休日、比較的ご近所のnicoさんにて、女子会的な寄り合いに男一人、寄せてもらった宵のこと。なんだか社会科見学のようで新鮮でした。


メインに頂いた「仔羊のナヴァラン プランタニエ」が美味しかったのです。navet(かぶ)とprintanier(春野菜)と仔羊の煮込み、春らしい古典フレンチ。優しい味、麗らかな彩りで、春を先取りするような料理です。

前菜には、タブレ(クスクスのサラダ)に、軽くスモークしたホタルイカが添えられていました。仄かな薫香が与える奥行きを楽しめます。

少し寒さが舞い戻ってきましたが、それでもなお、春ですね。







旅するシェフ

「旅するシェフ」

旅の記憶、旅の空気を厨房と食卓で再現する日常。



もし、タイ料理屋をするなら、タイカレーもパッタイもガパオもカオマンガイもヤムウンセンもタイラーメンもない店にしたい。

例えば、こんな料理がやりたい。チューチー クン。海老のレッドカレーソース。あくまでも、ゲーン(タイカレー。ゲーンは、汁物の意味。)ではない。コクのあるソースがまた海老をうまく食べさせてくれる。そんなことを妄想しながら作った。





タイ料理で一番好きな、ヤムママー。
トムヤム味のインスタントラーメンを使って、ヤムウンセン(春雨サラダ)のように、甘酸っぱいタレで和えた料理のことだ。

おおらかなタイ人らしさを垣間見ることができる、そんなローカルフードだ。そんなことを思い出しながら作った。






もし、ベトナム料理屋をするなら、フォーも、バインセオも、生春巻きも置いていない店をやりたい。フランス植民地時代の名残りを感じさせる、フランスの影響を受けて独自に進化して土地に馴染んだベトナム料理が好きだ。

例えば、ボーコー bò kho.
ベトナムのビーフシチューだ。フランスのboeuf bourguignonやboeuf mode(boeuf à la mode)の影響を受けている。でも、レモングラスや五香粉の香りに、ヌックマム(魚醤)の風味が加わり、ベトナム化している。パンと食べたり、フォーなど米麺を入れて食べられる。特に朝食として親しまれている。

ボーコーを食べると、ホーチミンの暑くとも清々しい朝を思い出す。






before




after



キレミットという、楕円形の素焼きの耐熱皿。これは、トルコのもので、直火にかけて、軽い煮込み料理などに使われる。調理したものを、熱々感とライヴ感はそのままに、直接、厨房から食卓へと出される。こういうダイレクトかつライヴ感のある料理や皿、鍋が好きだ。だから、僕の店はモロッコのタジン料理の店なのかもしれない。

さて、この料理は、キレミット ケバブというトルコ料理。細かく切った肉と、ししとう、玉ねぎ、にんにくを炒め、トマトとスパイスを加え、軽く煮込んだもの。しみじみと、沁み渡るような滋味深い旨さのトマトソースこそが、トルコらしさ。



日常の中に旅を落とし込んで妄想することもまた、面白い。

逆に、現地の人の日常を探し、その日常に入り込むように、溶け込むように旅をするのも、また、面白い。観光スポットばかりを巡るのもいいけれど、取り立てと何もない路地裏にもまた、ひっそりと旅情は転がっていて、そんな小さな出会いを探すのも旅の醍醐味。





旅は無形財産

最近の、旅を思い返しながら、その土地の料理を再現したり研究したりのまかないあれこれ。


写真1.「パット ペット ムー」
タイ料理の炒めもの。豚肉のレッドカレー炒め。



パッタイやヤムウンセン、トムヤムクン、ガパオガイ、カオマンガイ、プーパッポンカリー、タイカレーだけがタイ料理ではない。それら以外のタイ料理が好きです。

タイ料理はもっと多様。東北部イサーン料理や中華系タイ料理が特に好きです。




写真2. balık ekmek
「バルック エキメッキ」



トルコで有名な、サバサンド。鯖の切り身のグリルと、玉ねぎやトマトやレタスを挟み、塩をふって、レモンを絞るだけ。地味に旨い。地味だが、10年前、初めてガラタ橋で出会ったときには、感動したものである。



写真3. izmir köfte
トルコの「イズミル キョフテ」



僕の大好物。じゃがいもと肉団子(キョフテ)のトマト煮込み。おばあちゃんの料理みたいな空気感を持つ家庭料理だ。




写真4. Cà ri gà
「カリー ガー」



ベトナムの、鶏肉とさつまいものカレー。ココナッツと五香粉の風味がベトナムらしさ。パン、もしくは、ブン(米の平麺フォーではなく、押し出し型の米の丸麺がブン。フォーよりブンのほうがよく食べられている)と一緒に食べられているベトナムカレー。

パンと食べるあたり、フランス植民地時代の名残を感じる。モロッコにしても然り、ベトナム然り、フランス植民地の文化に興味がある。



写真5. bahn mi xiu mai
「バインミー シウマイ」



バインミーは、ご存知、ベトナムのサンドイッチ。まさにフランスの名残。シウマイは、ベトナムでは皮なし。要は、肉団子。たいてい、トマトソースで煮込まれていて、肉団子には刻んだ木耳が入っていて食感がよい。


昔からつくっていた料理から、初めてつくった料理まで。学生時代から、14年間、旅で散財しながら得た知識、経験、料理、風景、建物、人、空気といったものたちは、無形の財産かもしれません。




まかないと旅の話はさておき、新メニューの紹介です。

tajine de poulet aux frites.
鶏肉と玉ねぎとフライドポテトのタジン。





モロッコの旅にて。カサブランカのgare de casa voyageurs(カサ ヴォワヤジュール駅)にて電車を乗りかえる合間に立ち寄った、駅付近のカフェとスナックの食堂にて出会ったタジン。



フライドポテトにソースを染み込ませると旨い。すこしジャンキーなタジン。

ジャジューカでも、昨日から、ひっそり出し始めました。

揚げ物を店でやりたくない、ジャンクすぎる、という理由で避けてきました。ヘルシー志向を店として推していくつもりはないのですが。。。

そこで、オーブンでじっくりローストすることにしました。フライドポテトとはまた違う食感を出すことができて、タジンに入れてもクタッとせず、かえって、現地のタジン以上においしくなったとおもいます。

今週は静かな週でした。隠れ家らしさを充分味わえるかと思います。ゆったりと料理を味わいにおいでくださいませ。本日もひっそり、お待ちしてます。

旅の空気、現地の味を楽しめる、料理のセレクトショップ、モロッコ料理とフランス料理のジャジューカでした。


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「パリ、イスタンブール再び」編

【パリ編】

10月7日、7:25バイヨンヌ発のTGVで、12:33、パリ モンパルナス駅に戻ってきた。


北駅、東駅に近く帰国時に便利なchateau d'eau駅近くのホテルにチェックインし、ヨーロッパを長旅中の友人と再会、合流。


chateau d'eau、バルベス ロシュシュアール、chateau rougeあたりは、完全にアフリカ系が多く、治安があまり良くないとも言われるが、普通に過ごす分には問題ないし、むしろ、こんなエリアこそが本当のパリらしい姿で、僕は嫌いじゃない。美しくかわいくお洒落なパリ、みたいなものは所詮幻想で、カオティックであることこそ、パリの格好良さのように思う。


さて、サンジェルマンデプレに移動して、半月間パリジェンヌ気分を楽しんでいる友人とも合流して、遅めのデジュネ。


デジュネは、勉強のためシューファルシを食べたいという同行人の希望を汲んで、Au Chai de l’Abbayeというオーセンティックなスタイルの、でもそれでいてカジュアルな、パリらしい店にて。



シューファルシ、リヨン風ソーセージ、タルタルステーキ、エスカルゴのブルゴーニュ風、オニオングラタンスープを。いかにもフランスといった趣の、普通のあたりまえのフランス料理をわりかしおいしく手頃に食べられる店。




そこから更に、パリ在住の友人と一時的に合流してパリ散歩。途中、老舗の惣菜屋兼菓子屋のストーレーや、モンマルトル通り沿いの厨房道具屋に立ち寄る。フランス最終日は、かなり、おのぼりさんルート。おのぼりさん達はそのままボンマルシェへ。laguioleのナイフが30%OFFだったため、店用に購入。







モンマルトル近くのピガール駅に出来た、la cantine de la cigare(パリで人気のちょっとだけバスク風のビストロというか食堂 la cantine du troquetの一番新しい支店)でディネのはずが、まさかの貸切で入店できず。モンマルトルまで来てしまったので、ついでにおのぼりさん気分でムーランルージュまで散歩する。



本店の la cantine du troquetにいくか、いってみたかったモロッコ料理屋か、おすすめされていたモロッコ料理屋にいくかも考えたものの、時間の都合で断念し、おのぼりさん気分を継続して、いかにもパリらしいギラギラしたブラッスリーで、生牡蠣やビスクや、魚介のシュークルートを楽しんで、フランス最終日を終える。




【イスタンブール編】

10月8日午前中にパリを発ち、同日夕方。イスタンブールまで戻ってきた。トランジットに8時間の空白。少し街に出ることにした。とりあえずスィルケジでドンドルマ(のびるアイス)を食べて、マルマライでアジア側に渡ってカルフールにいくも収穫がなく、スィルケジに戻る際、電車の改札を間違えて切符を無駄にしてしまった。判断力が鈍ってきて調子が悪い。


スィルケジに戻り、最後の夕食は、結局前回と同じ食堂(ロカンタ)街にある、バルカンという店にて。


鶏のチョルバ(スープ)、イズミルキョフテ(挽肉とじゃがいものトマト煮込み)、ムサカ(茄子と挽肉の重ね焼き)、パドゥルシャン ケバブたる茄子とラム肉の料理を。この店のイズミルキョフテはやはり旨い。





スィルケジの小さなチャイハネで最後のチャイを飲み、ベタな土産を探して、空港へ。



【帰国のおしらせ】

10月9日夕方、帰国致しました。
短いようで長かった研修の旅もこれにておしまい。今回フランス バスク地方で見てきた風景や空気や匂いを、舌で確かめた料理を、ジャジューカの料理としてどのように仕立てて、どのようにして美味しい時間をお客様に還元していくか、ここからが肝心です。


10日18:00より、営業再開です。明日から、また、皆様に満足していただける料理、背景や風景が見えるような店づくりを突き詰めていきます。ご来店、ご予約、何卒宜しくお願い致します。







スペイン バスク

10月4日。フランス側のバスクpays basqueから、スペイン側のバスクpais vascoへ。バスク地方は、スペイン〜フランスにまたがります。バスク銘菓ガトーバスクgâteau basqueも、スペイン側にいくとパステル バスコpastel vascoに名を変えます。ガトーバスクはフランスらしくバターが効いているのに対して、パステルバスコは、バターは余り効いてなく、ボソボソと素朴な感じ。パステルバスコは、サンセバスチャンにある老舗のオタエギにて購入。



まずは、サンジャンドリュズから、オンダイエまでをバスで、オンダイエからはeuskotrenでスペインのサンセバスチャンにいきました。サンセバスチャンは、レアル ソシエダというサッカーチームの本拠地です。また、バスクはピンチョス発祥の地であり、バル巡りが名物。有名店のganbaraとbar cepaをはしご。バスクの微発泡白ワインのチャコリも初体験。











サンセバスチャンからは、バスでオンダリビアという小さな街にいきました。
サンセバスチャンの建物はあまり、バスクらしさを感じませんが、オンダリビアには、バスクらしい窓枠の色をした建物がたくさんあります。オンダリビアは、小さなとても良い街でした。







料理や建物など、形あるバスクらしい文化は、スペインバスクより、フランスバスクのほうがたくさん残っているように思います。ぼくは、やはり、フランスバスクのほうが好きだなぁと思います。ただ、言語のように形のない文化に関しては、スペインバスクのほうが、たくさん残っているようです。フランスバスクでは、古来からのバスク語を話せるのは人口の15%しか残っていないのに対し、スペインバスクでは、人口の80%がバスク語を解すそうです。



いずれにせよ、バスクの文化は僕を魅了して止まないようです。





帰りは、バスでイルンという街まで行き、イルンからeuskotrenでオンダイエまで、オンダイエからサンジャンドリュズへは国鉄で戻りました。



フランス バスク 「山バスクの村々」編

【カンボ レ バン編】

10月5日、バイヨンヌから814系統のバスで、カンボ レ バンという、山バスクの小さな村へ。この日は、年一回のガトーバスク祭の日。祭りが盛り上がる前の午前中に少しのぞいてきました。牧歌的で田舎らしい素朴なほのぼのした祭りでした。




タロアというトウモロコシ粉のパンと言うかクレープというか、そんな粉もんがあり、それに焼いたヴァントレッシュ(バスクの生ベーコン)を挟んだだけの素朴な軽食が屋台で売られていて、なんともしみじみ滋味深いものでした。





カンボレバンから、エスプレット村へ。バイヨンヌからエスプレットまで、いい時間帯のバスがなく、カンボレバン止まりだったのと、カンボレバンではタクシーも捕まらず、かといって歩くと5kmの道のりだったので、不安がる同行人をよそに、旅慣れた僕は迷わずヒッチハイクを選択しました。田舎の人の優しさにも助けられ、車をキャッチするまでの所要時間僅か3分、エスプレット村へは10分で到着しました。



【エスプレット編】

エスプレットは、唐辛子が名産。唐辛子といっても辛くはなく、甘い香りと風味が絶妙で、バスク料理には欠かせない調味料です。家々には、特産の唐辛子が吊るされ、干されています。乾燥したものは、挽いて粉末にして使用します。ジャジューカのフランス料理部門でも、エスプレットの唐辛子は、おなじみですね。





さて、日曜のエスプレット村では、たまたまブロカント(蚤の市)をやっていて、そこそこ面白いものが安くで並んでいて、ガラクタ好きの血が騒ぎ、ひとつだけ買い物をしました。





エスプレット村の、ホテル併設のレストラン、euzkadiにて、昼食。日曜のお昼時、観光客や地元の人の両方で賑わうレストラン。下記のような名物料理をいただきました。





elzekaliaという、野菜とハムのスープは、サラサラとドロドロの中間、程よいとろみ。野菜とハムのエキスが染み出た滋味深いスープは、別名、ガルビュール バスケーズ。ランド地方やベアルヌ地方などフランス南西部の名物ガルビュールは、鴨のコンフィなどが入り、野菜の形がなくなるくらいドロドロで、鴨のコンフィによる濃厚な味わいをもつ。ガルビュールのバスク風=elzekalia。





tripotxaという料理は、バスク地方のブーダン ノワール。血のソーセージです。さらに、臓物が入ります。りんごやじゃがいもは中にも入らず付け合わせにも入らず、普通のブーダン ノワールよりも、普通のアンドゥイエット(臓物ソーセージ)よりもクセがあります。トマトソースが添えられます。





バスク料理でおなじみ、ピペラードを、ここでもいただきましたが、このレストランのピペラードは少し甘すぎました。





他には、アショア。仔牛を細かく刻んで、ピーマンとバスクの唐辛子で炒め煮にする料理。肉っ気が強すぎて重かった。僕なら、もう少しピーマンの割合を増やして白ワインと唐辛子を効かせてしつこさを減らしたい。






【サール編】

エスプレット村からサンジャンドリュズへの帰り道は、タクシーを呼んでもらいました。途中、小さな美しい村にも立ち寄りたかったので、ドライバーさんにお願いして、サールという小さな美しい村に立ち寄ってしばらく待機してもらい、少し散策しました。時が止まっているかのようです。山バスクは、それはそれは美しいものでした。






バスクは、海にも山にも恵まれた世界で一番美しい地方かもしれません。少なくとも、バスク人のバスクへの愛情と誇りというものは、本当に世界一でしょう。



サールから、これまたかわいらしい村、アスカンを通りながら、道中はドライバーさんがずっとガイドをしてくれました。エスプレット→サール、アスカン経由(途中下車あり)→サンジャンドリュズで、タクシー片道85ユーロでした。
もし、往復ならば、150ユーロをみておく必要があります。




【サン ジャン ピエ ド ポー編】

10月6日、バイヨンヌから電車と代替バスで、一時間かけて、サンジャンピエドポーという村へ行きました。

サンジャンピエドポーからスペインのサンチャゴ デ コンポステーラまでは、巡礼路として有名で、巡礼路を示すホタテの貝殻のモチーフがあちこちに見られます。巡礼の宿場町です。

ナバーラ王国の名残りからか、他のバスクの街とはまた少し違った建築様式が残ります。




ニーヴ川の美しさが際立つ風景が印象的でした。




café ttipiaという店にて、昼食を。だいたい、観光客向けの料理を出す店というのはあまりおいしくないことが多いが、ここはわりと手頃な値段ながらおいしく、川沿いのロケーションと大きな木の木蔭も手伝って、村一番の人気店でした。




バスク料理ですっかりおなじみピペラードに、ヴァントレッシュのポワレと、ソーセージのコンフィのポワレが添えられた料理をメインに頼みました。コンフィにしてある分、コクが深まったソーセージが思いの外おいしく、ソーセージもまたピペラードに合うことを発見。




前菜には、バスク風ガルビュール。別名elzekalia。ハムの塊、ベーコン、野菜の溶け合うスープは、やはり、コクが奥深くて美味。バスクのガルビュール=elzekalia、帰国したら、久しぶりに試作してみたい。とても満足のデジュネでした。















フランス バスク地方 サンジャンドリュズとシブール

10月3日。バイヨンヌbayonneから、サンジャンドリュズst jean de luzという港町へ。宿泊は、サンジャンドリュズの対岸の港町、シブールciboureという町に3泊。


シブールには、音楽家モーリス ラヴェルの生家がある。

古く歴史ある建物、カラフルな窓枠、美しい海と朝焼け。とにかく、シブールの眺望は美しかった。

山側のバスク地方には、赤の窓枠が圧倒的に多いが、海側のバスク地方には、青や緑の窓枠も、山バスクより多く目立つ。

その昔、漁師は船に青か緑のペイントをしていて、その余りの塗料で窓枠を塗ったことから、海バスクでは青や緑の窓枠が多くなった、とのこと。


シブールの対岸、サンジャンドリュズの町並みは、愛らしいものだった。とくに、バスクカラーに塗られた船は、目を惹くものがある。








【サンジャンドリュズ マルシェ編】

10月3日 金曜、サンジャンドリュズの常設市場の外回りには、マルシェが出ていた。 毎週火曜、金曜は、マルシェが立つので、そこを狙って行った。

シャルキュトリー(豚肉加工品)が充実。今つくっているヴァントレッシュ、他にはロモ、バスク風ソーセージが気になった。

オッソーイラティなど羊乳チーズや、羊乳を凝固剤で凝固させただけのヨーグルトと牛乳プリンの間のような乳製品「マミア」、ガトーバスク、キノコ、特産品の唐辛子、黒サクランボをはじめとしたジャム、豊富な魚介類に、野菜。バスク地方は、山の幸にも海の幸にも恵まれている。






【サンジャンドリュズ 食編】

★店リスト

日本人にも人気の大衆食堂chez pabloは、火災後の復旧のため、現在休業中。

10月3日昼。海沿いの「l'artha」へ。観光客向けにも思えたが、食べてみたかった料理(マルミタコとロモ)があったので、ここに決定。案外おいしかった。

10月3日夜。シブールのchez mattinにいきたかったが、満席で予約が取れず。あちこち探し回り散々振り回した挙句、諦めて適当に入った店が大ハズレ。

10月4日夜。「pil-pil enea」へ。ローカルに人気。遅がけには満席に。メルル コスケラという鱈料理が美味かった。ちなみに、店名にピルピルとあるが、スペイン料理のピルピルは無い。

10月5日夜。「le petit grill basque(chez maya)」へ。店主に聞くと創業は1920年。代々家族経営。歴史に裏打ちされた年輪のような味わいのある店。魚介料理がスペシャリテ。とくに、チョロ。チョロは、バスク地方版スープ ド ポワソンもしくはバスク版ブイヤベース。サンジャンドリュズとシブールの名物。


★シピロンと海老のプランチャ

バスクでは、シピロンという小イカがよく食べられている。プランチャは鉄板焼き。スペイン〜フランスバスクあたりの調理法。海老のプランチャとともに、カスエラに入って出てきた。玉ねぎがこっそり効いていた。


★マルミタコ

マグロとピーマンとじゃがいもの煮込みスープ。漁師料理。


★ロモのポワレ

ロモは、豚フィレ肉の生ハム(生ベーコン)。これをスライスして焼くと何とも言えないおいしさ。


★メゾン アダムのマカロン

パリのカラフルでクリームを挟んだ現代のマカロンではなく、元祖マカロン。フランスではバスクから伝わったとか。クリームも色もない。カントリーマアム的な素朴な卵白ベースの焼き菓子。箱のデザインも秀逸。


★ムール貝のバスク風
トマトや、辛くないバスクの唐辛子を効かせたソース。悪くない。この店で、いわしのバスク風と、鱈のスペイン風(ビスカヤ風)を食べたが、どちらも美味しくなかった。


★ピキージョのファルシ

焼いて皮を向いた、少し甘みのある小さなパプリカに、干し鱈のピュレを詰めたもの。しみじみ旨い。ソースは、少し甘めのアングレーズソースみたいなもの。


★アショア

仔牛のミンチとピーマンの炒め煮。肉の味が濃い。じゃがいもとともに。


★メルル コスケラ

鱈(メルルーサ)とアスパラ、貝、グリーンピースを魚介の出汁と白ワインとバスクの唐辛子で煮込んだ料理。これは絶品。奥深いのは唐辛子の仕事か。


★コカ

バスク地方のプリン。この店のプリンは、湯煎でオーブンではなく、湯煎なしの焼きプリン状態。カラメルソースではなく、ラムシロップを染み込ませてあった。


★チョロ

バスク地方のスープ ド ポワソン、もしくはバスク版ブイヤベース。具は、鱈、海老、ムール貝。魚とトマト、パプリカ、バスクの唐辛子、野菜、白ワインを煮込んで、荒く引き潰したザラっとした旨味の詰まったスープ。


★ピキージョのファルシ
この店のピキージョには、鱈とじゃがいものピュレつまりは、バスクより上のsud-ouest南西部のブランダードが詰められていて、甘酸っぱく濃厚なトマトソースで供された。


★シピロンの墨煮

小イカの墨煮も、バスク名物。かなり濃厚。ビーフシチューのイカ版という、同行人の表現は、得てして妙。


★クレーム ランヴェルセ オ キャラメル(フラン)

クレームキャラメル、要はカスタードプリンのことだが、別名にフランとカルトに書いてあったのがポイント。スペイン語ではプリンのことをフランと言う。スペインに近いバスク地方ならではか。卵白一切なし卵黄のみの濃厚タイプはスペイン的。











フランス バスク地方 バイヨンヌ

10月2日

10:28 パリ モンパルナス発 オンダイエ行 TGV8533にて、バスク地方のバイヨンヌまで向かう。所要時間5時間。


バスク地方には、特徴的な赤や緑の窓枠をもつ建築物が多く、とても目を惹きつける。バイヨンヌの街並みも然り。




【シャルキュトリー】

バスクは、豚、シャルキュトリーが有名。とくに、バイヨンヌは生ハムが有名。

ヴァントレッシュという生ベーコンは、僕もつくっている。写真のロモ、というものの実態がよくわからず、気になっていたので、肉屋に聞いて見た。



料理の仕事をしていて、ヴァントレッシュもつくっているということを話して写真をみせたら、喜んで説明してくれて、試食もたくさんさせてもらった。これこそ研修。

ちなみにロモとは、豚フィレの非加熱ハムのことでした。

バスクのエスプレット唐辛子入りのブーダン(血のソーセージ)も、有名。

実は、バスク地方、ここバイヨンヌは、フランスにはじめてチョコレートが伝わった土地。そしてバイヨンヌからフランス全土に広まった。ショコラトリーも多い。

【gâteau basque】

バスク銘菓、ガトーバスク。
サブレ生地にカスタードか黒さくらんぼ(または黒さくらんぼのジャム)を挟んで焼いたもの。店により様々なガトーバスクがあり、おもしろい。


【ディネ】

夕飯は、le chisteraにて。
田舎らしい、あたたかく素朴な内装。

スペインに近いだけあって、サングリアの美味しさは格別。程よい薄さとしっかりした甘さとさっぱりした爽やかさに、スパイスの甘い香りが効いたサングリアこそ、真のサングリア。
今年の夏から作り方と味を変えたジャジューカのサングリアも、これを踏襲しています。

アミューズに出てきた、鶏の手羽のフリットが、予期せぬ美味しさ。圧力をかけてホロホロになった手羽に、しっかり下味をつけ、クリスピーな衣をつけて揚げた一品は、さながら日本の唐揚げ。

バスク一日目なので、今日はバスクの中ではベタすぎるものばかりをチョイス。

【le chistera 前菜】

前菜に、スープ ド ポワソン。バスク地方のスープ ド ポワソンは、海老、ムール、鱈のダシに、香味野菜、トマト、パプリカ、エスプレット唐辛子が使われ、ムーランですり潰すように粗漉しされている。 香り高い、でも素朴で力強いバスク地方らしい一品。
スープ ド ポワソンには、クルトンとチーズがついてくる。具は、ムール貝と鱈。

もう一つの前菜は、バイヨンヌらしい、シャルキュトリーの盛り合わせ。バイヨンヌの生ハムは美味しい。
肉屋で気になっていた、tripes basquaiseも出てきた。
バスク風トリップは、トリップの煮込みではなく、トリップのテリーヌだった。平たく言えば、エスプレット唐辛子が効いたモツ入りテリーヌ。これがものすごく美味しかった。旨味はあるが変な癖や臭みはなく、美味。

【le chistera メイン】

鶏肉のバスク風煮込み 米添え。
トマト、ピーマン、パプリカ、玉ねぎ、生ハムのクズ、エスプレット唐辛子とともに鶏肉を煮込んだ料理。トマトがとても甘かった。農家育ちの鶏肉も味が濃く、旨味があった。




ピペラード バイヨンヌの生ハムのポワレ添え。
ピペラードは、最も有名なバスク惣菜。トマト、ピーマン、玉ねぎ、生ハムのクズ、にんにく、エスプレット唐辛子を煮込んだバスク版ラタトゥイユのようなもの。これを卵で綴じて食べる。よく、肉と供される。特に、バイヨンヌの生ハムを軽くポワレしたものを添えることが多い。ここでも、トマトの甘味と、生ハムのコクが際立っていた。 そして、生ハムは軽く火を通すとまた違う風味が出て美味。




ベタな料理、観光地にある食堂ながら、ここは、料理がちゃんとしていた。オフシーズンに入った今の時期でも、地元のお客さんがちょこちょこ入っていたことからもそれがわかる


【le chistera デザート】

「マミア」
羊乳を凝固剤で緩く固めただけの、バスク版羊乳ヨーグルト、または、羊乳プリンといったところ。甘味はついておらず、バスク産の蜂蜜や黒さくらんぼのジャムをかけて食べる。癖や臭みは全くなく、羊乳のコクがダイレクトに伝わる。また、マミア専用の素焼きの容器がなんとも素敵な佇まい。




「オッソー イラティ」
バスク産羊乳セミハードチーズ。
これまた羊乳のコクがダイレクトに伝わる。でも、臭みは全くない、シンプルでストレートでダイレクトなチーズ。ジャムや蜂蜜と食べるとまた美味。




食後のカフェに、チョコレートが添えられて来た。この添え方が、なんだかニクい。

会計システムが、またも心憎い。バスク名産のサンダル、エスパドリーユの乳児用のものにレシートが入って出てきた。参考にしたい。 なかなか実りあるバスク一日目となった。





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